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ペパーミントの思い5


ペパーミントの思い5

「そうだ、これ」

ミントタブレットの箱を手渡す。

「あ、ありがとう」
「ミント味が好きなの?」
「うーん、まあそうなんだけど。なんていうか習慣みたいなものかな」
「習慣って?」
「俺、高2まで勉強は後回しでサッカーばかりやってきたから、そのツケが回ってきて3年になってから受験勉強が大変でさ、眠くなったときにこれ口に入れると目が覚めるからいつも大量に買ってた。それで合格してからもなんとなく、ないと落ち着かなくて未だに持ち歩いてる。それに今でもバイト終わってからレポート書いたり勉強したりするのにあると便利だし」
「そう。真面目なのね」

1年間の受験勉強だけでここに現役で合格するのはかなり大変だったはずだ。相当な努力家なのだろう。

「いや、単に貧乏暇なしって感じかな。バイトしなけりゃもっと余裕があるんだけど、塾長に便利にこき使われてて最近ほんと忙し・・・」

その時、彼の胸元で携帯が鳴った。

「あ、ごめん、ちょっといい?」
「どうぞ」

彼が軽く会釈して電話に出る。

「はい、あ、柚木さん?今、下?うん、いいよ、すぐ行くから」

声が弾んでいる、いい知らせでもあったんだろうか。

「何か用事?」

電話を切った彼に聞くとちょっと済まなさそうな顔をして頷いた。

「サークルの友達に本貸す約束してて、今下のロビーに来てるらしいんだ。だから」
「わたしに気を遣わなくてもいいわよ、じゃあ・・・」
「うん、また後で」

慌てて部屋を飛び出してゆく後ろ姿を見送ってテキストとノートをブックバンドで一つに纏めた。
掌にはまだ僅かにミントの香りが残っている。
ほんの少し胸の奥に痛いようなざわめきを感じた。
それが何なのかわからなくて落ち着かない。こんな気持ちは初めてだ。嬉しいでもなく悲しいでもないし、不愉快でもないけれど快いとも微妙に異なる思い。
自分の感情のどこのカテゴリに入れたらよいのかどうにも判断できなくて。

もう考えるのはやめよう。
わたしは大きく頭を振って部屋を後にした。



まあその、美紅ちゃんのことを「柚木さん」って呼んでる蒼くんが書きたかったっていう・・・。
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