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アイデンティティ Part6 提案

Part6 提案


「ところで、和人くん」
「あ、はい!」

竜登のお父さんに突然話しかけられ、オレはちょっと焦った。
やばい、今笑ったのバレたかな、と思ったけど、お父さんが言ったのは全然別のことだった。

「竜登が土曜日に日本語補習校に行っているのは知っているかな」
「はい」

そう、アメリカ国籍を持つオレと違って、竜登はあくまでもアメリカに長期滞在している日本人だ。いつかは日本に帰らなきゃならない。オレにとっては寂しいことだけど、こればかりは仕方のないことだ。
そして、いつでも日本の学校に復帰できるように、竜登は土曜日をほぼまる一日使って、30マイル離れた場所にある、日本語補習校に通っている。
そこには竜登と同じ立場の子供たちがたくさんいて、オレ以外の同じ年頃の子供と日本語で会話できる、竜登にとって貴重な場所であるらしい。

「今はそっちの学校も春休み中で、日本のグレードでは4月から新学期。竜登は五年生になる」
「知ってます。小学校入学直前まで日本にいたので」

幻の小学一年生、背負うことのなかった新品のランドセル。あのときの苦い思いは今でも忘れることができない。

「そうか、それなら話は早い。もちろん和人くんがよければの話なんだが、新学期から竜登と一緒に通わないか?」

え・・・。

「実はね、あなたのご両親の了解はもうとってあるの。お父様は日本人として日本の教育を体験するのはとてもよいことだとおっしゃてたし、お母様も日本語補習校での実績はアメリカでの外国語取得のキャリアとして認められるから、今後のためにも行っておくのは有効だって賛成してくださったの」

突然のことに戸惑っていると、お母さんから意外な話を聞かされた。
うーん、もしかして今日の花見はオレにこの話をするためだったのか。

「和人くんのおうちはフリーウェイに入る前にちょうど通る場所だから、ついでといっちゃなんだけど、竜登を連れていくときに和人くんを途中でピックすればいいだけの話だし、帰りはおうちの前でドロップできるし、次の日は休日だから、いっそうちに泊まってくれてもいいし」
「ちょ、ちょっと待ってください」

オレはなんだか盛り上がっているお母さんを押しとどめた。
まだ、なんだかいろいろと整理がつかない。

「あの、日本語補習校って日本人が行くところですよね」
「まあ、基本的にはそうだけど、プライベートスクールだし、日本語を理解出来れば国籍は問わないらしいわよ。それに和人くんは日本国籍も留保してるでしょ」
「ええ、まあ。20歳になるまでは。でも、オレは見かけがこんなだし」

日本にいたときに感じていた、珍しいものを見るような視線。あの視線に晒されるたび、自分はここにいてはいけないのじゃないかと思ってきた。所詮オレは「他所者」なのだ、と。

「ああ、それなら大丈夫。竜登のクラスだけでもハーフの子は8人いるから、和人くんも全然目立たないわよ。あ、イケメンだからやっぱり目立つといえば目立つけど」

お母さんはそう行ってケラケラと笑った。

・・・イケメンて、そういう問題だろうか。
でも、なんだかこの人と話していると今まで真剣に悩んでいた自分はなんだったんだ、と思えてくる。
ちょっと、心が軽くなったような気がした。



いつものことですが「あれ、なんで終わらないの?」という世界にww
GW中に終わるのか、この話
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