DISTANCE (お題企画 秋)

まだまだ暑いですね。
でも、もう9月。秋ですね。
と、いうことで、私が参加させていただいている「物語は素晴らしい」の管理人の 神楽崎ゆうさん が、すてきな企画を立ててくださいました。
こちらです↓

(以下引用)

秋といえば「読書の秋」───そう、「物語の秋」!!!

ということで、管理人主催でコミュニティ初の
【企画物語】(お題小説)をやろうと思います♪



● テーマ ●
 「  秋  」

※「秋」にちなんだ作品を書いてください。
ex)ひと夏の男女の恋のその後ストーリー・・・
  十五夜の日、見上げた月から突然少年が振ってきて・・・
  枯葉舞い散る中での敵との死闘シーン・・・
etc・・・・・・
(管理人はこんなのしか思い浮かびませんでしたが^^;)


● 募集期間 ●
9月6日 ~ 11月6日 (立冬前まで)

立秋からには間に合いませんでした(汗)が、
暦上冬が始まる7日前までの募集期間とさせていただきます。


● 対象作品 ●
「秋」が入っている作品
・小説 (1話完結、連作もの)
・詩
・短歌・俳句
・歌詞

※「第2章」「5話」など連載しているものの途中1話だけでも構いません。
※期間中に執筆した作品が望ましいですが、1年前までに載せた作品なら対象内とします。
※ひとり何作品あげてもOK!


● 書き込み事項 ●
・作品タイトル
・http:// (作品をUPしたURL)
・(他、あらすじやコメントなどあれば)


● 備考 ●
“「秋」っぽい作品”の判断基準は、あくまで執筆者の思いにゆだねます。
「秋」っぽいところがたった一文でも構いません。
自分のブログ(物語)を読んでもらう機会として、どしどし参加(書き込み)してください。

6日が過ぎた後は、管理人が投稿作品をタイトル名順にまとめようと思います!



自身、初めてお題を出すことになりましたので
至らない部分、わからない部分も出てくると思います。

何か質問、意見ありましたら管理人にメッセージをお願いします。



たくさんの参加・・・切実に待ってます!!!!

(引用ここまで)




と、いうわけで、突発的に思いついた詩を




DISTANCE


待っていて、とは言えないけれど
わたしは必ず戻ってくる
あなたがいてもいなくても

あの日、君はそう言った
僕は答えが見つからなくて
ただ 黙ってうつむいた

あれから幾月過ぎたことだろう
あの日ピンクの花びらを
舞い散らせていた桜の木々は
オレンジの葉を散らしてる

遠い異国の空の下
君は何を思ってる

待っていて そのひとことを
どうして言ってくれなかった
今更仕方のないことだけど
そのひとことを糧にして
ずっと待っていられるだろうに

それでもやっぱり
僕はここから動けない
いつかきっとこの桜並木を
僕に向かって駆けてくる
君を抱きしめるそのときを
諦めることなどできないから





待っていて
とは言えなかった
あなたを縛る一言は
あなたを責める口実を
作ってしまうことになる

たとえあなたが去ったとしても
あなたを恨まずいるために
喉まで出かかるひとことを
涙と一緒に飲み込んだ

見上げる高い空からは
今年最初の風花が
ひらひら舞いつつ落ちてくる

いつか故郷に帰る日に
桜並木のあの道に
あなたが立っていてくれたなら
きっと二度と離れない
わたしはコートの襟を立て
石畳の道を歩き出す



まあ、あれです。遠距離恋愛ってやつですね。
春に旅立っていった彼女
夏が過ぎ秋が来て風の冷たさを感じるとともに
寂しさもつのるという・・・。
この場合、外国なので時差もあり電話もなかなかできないですし(経験者^^;)
春にはきっと再会できるといいですね。
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コーヒー・マグ 秋企画 銀杏編

秋企画のために書きました。銀杏編です。もうひとつ紅葉編がある予定。締め切りに間に合わなかったらすみません。


   コーヒー・マグ 秋企画 銀杏編


これで荷物は全部。
私はバッグのファスナーを閉めた。

窓の外では傾き始めた陽を受けて銀杏が金色の葉を光らせている。
もう、秋もずいぶん深まった。

そして今日、私はこの部屋を去る。
キャリーバッグは小さいけど、ここで暮らした1年半の思い出はたくさん詰まっている。目には見えないけれど。

「荷物、片付いた?」

声に振り向くと、彼がマグカップの載ったトレイを手に立っていた。

「ええ・・・」

そう言ってカップを受け取る。コーヒーのいい香り。
同じように淹れているつもりなのに、なんの秘密があるのか、彼の淹れたコーヒーは私が淹れるものより美味しかった。
かった・・・。
そう、過去形。
彼の淹れたコーヒーを飲むのはこれで最後。

私は白、彼は黒。色違いのマグカップ。
一緒に暮らし始めたとき、お互いに一目ぼれして買った。
「どうしてこんなに波長が合うんだろうね」
「きっと運命だよ」
交わした会話が思い出される。

あのときは、たった1年半で終わりが来るなんて思ってもみなかった。

そう、私たちは波長が合った。
いや、合いすぎていた。

同じものに感動し、同じものに喜び、けれどそれは・・・
同じものを嫌悪し、同じものに絶望するということでもあった。

彼が自分を好きになれないとき、そういう彼を私は好きだと言ってあげられなかったし、私が自分を嫌悪せずにいられないとき、彼もまたそういう私を嫌っていた。

生きてゆくのはけっこうつらい。
少しずつ、少しずつ。
喜びよりも、苦しみのほうが心の中に澱のように溜まっていく、そのことをお互い痛いほど感じながら、お互いどうすることも出来ない日々が続いた。
そして、
ある日。
二人で顔を見合わせたときに。
お互いに気づいてしまった。
もう、限界だと。


コーヒーを飲み干す。美味しかった。
でも、一杯のコーヒーで引き止められるほど私たちの絶望は浅くはない。

「もう、行くね」
「ああ・・」
「コーヒー美味しかった、ありがとう。それから」
「なに?」
「このカップ、もらっていっていい?」
「ああ、いいよ」

カップを手にしたまま、私は玄関に向かった。
最後に、彼に微笑みかける。
彼も、微笑み返してくれた。
最後は、笑顔で。
お互いそう思っていた。


アパートの階段を下りる。靴音が響いた。
この音を聞くのもきっと最後。

もう、二度とここを昇ることはない。

階段を下りたところで、カップを持った手を開く。
カップはコンクリートの上で粉々に砕けた。

そして私は金色の葉をひらひらと舞い散らせる銀杏並木の下、駅へ向かって歩き出した。
一度も振り向かず、一度も立ち止まらなかった。

けれど

私は確かに、黒いマグカップの割れる音を背中で聞いていた。





暗くてすみません。この話は以前書いた「不協和音」という詩の小説版です。
あっちは男性目線だったのでこっちは女性目線で。
紅葉はもっと明るい話のはずです、たぶん。

メッセージ 後編 秋企画・紅葉編

メッセージ 後編


「今くらいの時期ってさ、けっこうキツイだろ、いろんなこと片付いて暇になったころがさ」

確かにそうだ。
亡くなってからしばらくは、片付けなくてはならないことが山積していて悲しみに浸っている時間などない。
けれど、一段落ついたこの時期。
折りにふれて思い出す、父とすごした記憶。
そして、思い知らされるのだ。
もう決して新たな記憶は紡げないことを。

「うん、そうかも。でも、よくわかるね、谷本くん」
「経験者だからさ、これでも」
「え?そうだったの?」
「俺小学6年のときに事故でお袋亡くしてるの。突然だったから何がなんだかわからなかったな」

知らなかった。でも確か保護者会に駿也の母親は来ていたはずで。

「中3のときに親父再婚したからさ。いい人だし、好きだけど、やっぱりたまに思い出す。もうたまに、になったけど」

そうだったのか。中学は同じじゃないから知らなかった。駿也はいつもとても明るくて、ムードメーカー的な存在だったし。
しばらく会話が途切れた。
だけど、会話がなくてもつながっているような不思議な気持ちだった。
同じ痛みを知るもの同士だからなのかもしれない。

「三上、今日はデートとか?」
「ううん、彼とは先月別れた」

同じサークルの一学年上の人と付き合っていたけど、父の具合が悪くなってからずっと会ってなくて。久しぶりにサークルに顔を出したら呼び出されて「他に好きな子ができた」と告げられた。
そのときはショックだったけど、そのあとほとんど思い出すこともなかった。
今思えば大して好きではなかったのかもしれない。

「ごめん、俺空気読めなくて」
「いいよ、気にしないで。言われなかったら思い出しもしなかったし」

あわてて謝る駿也を見ているとなんだか笑いがこみ上げてきた。
ひとしきり笑ったら、さっきまでのつらい気持ちがずいぶん軽くなっていた。これが笑顔のパワーというものなのかもしれない。

「じゃあ、これからどうするんだ?」
「友達と映画見にいくの。そのあとごはん食べて、帰りは夜かな」
「そっか、じゃあ、またな」
「うん、またね」

谷本駿也に手を振って、モールを出た。
また、冷たい秋風が吹きつけてきたけれど、さっきのように寒くは感じなかった。
暖かいカーディガンのおかげかな、そう思っていると。

メールの着信音がした。
待ち合わせ場所に着いたって連絡かな、と思い、携帯を開く。

・・・谷本駿也
さっきわかれたばかりなのに、何か言い忘れたのかな。
ファイルを開くと

奈央へ
今度一緒に紅葉見に行かない?
             駿也

ふと笑みがこぼれる。
カーディガンだけのせいじゃないな、温かいのは。
そういえば、いつのまにかファーストネームになってる。

駿也へ
いいよ、いいスポット探しといてね。
              奈央

メールを返して携帯を閉じる。


今年は一緒に紅葉見にいけないけど、別の人と紅葉見られそうだよ。
お父さんも空の上から見えるかな。

それと・・・
電子メッセージってのも、そんなに悪くないよ。


奈央は父に向かって呼びかけた。

風は冷たいけれど、心も体も温かい。
奈央は歩き出した。




私はふだん、人様に読んでいただくために書いているのですが、この話は純粋に自分のために書きました。
読んでくださった方、ありがとうございます。
そして、この場を借りまして、すてきな企画を立ててくださった神楽崎ゆうさんにお礼申し上げたいと思います。
どうもありがとうございました。とても楽しかったです。







メッセージ 前編  秋企画・紅葉編

メッセージ 前編


春はおずおずと遠慮がちにやってくるが、秋はいきなり訪れる。

9月に入っても、記録的な猛暑が続いた今年、ひょっとしたらもう秋は来ないんじゃないか、などと思っていたのだが。

「うわっ、寒い!」

突然吹き付けてきた冷たい北風に、奈央は思わず身震いした。都会のビル風はうっかりすると吹き飛ばされそうになるほど強い。長袖とはいえ、薄いTシャツ1枚で出てきたのは失敗だった。
ここしばらく、暖かい日が続いたので、完全に油断していた。時刻は午前11時過ぎ、今からこれでは、とても夕方まで我慢できそうにない。

何か暖かい上着を買おう、待ち合わせまでにはまだ時間があるし、バイト代が入ったばかりで幸い懐のほうはわりと温かい。
そう思った奈央は目の前のモールに入った。

そういえば、ショッピングは久しぶりだ。
ここしばらく、いろんなことがありすぎて買い物どころではなかった。
前に買い物に来たときに水着の飾られていたセンターにはコートやジャケットを身に着けたトルソーが並んでいて、季節の移りかわりを実感する。

しばらく見てまわっていると、赤いカーディガンが目に留まった。
真紅と朱の中間くらいの色合いが色づいた紅葉を連想させる。

「どうぞ、羽織ってみてください」

店員の女性に促され、鏡の前で身につけてみる。
我ながらよく似合っていると思った。

「とてもよくお似合いですよ。そちらカシミア混なのでとても温かいですし、着心地もいいでしょう。今年は猛暑続きで秋物の出足がよくなかったので、そちらはもう30%オフになってるんです。これからの季節にぴったりですし、お買い得ですよ」

すすめ上手な店員のセールストークに従って、カーディガンを購入し、タグをはずしてもらって、身につけたまま店を出た。
これで夜になっても安心だ。

通路にはさまざまなワゴンが並んでいる。それらを見て歩くのも久しぶりのことで楽しい。
出口近くにはメッセージカードの売り場があり、季節ごとに色々なカードが売られている。目前に迫ったハロウィンのカードはもちろん、もうクリスマスのカードもたくさん並んでいた。少々気が早いのではと思わないでもない。
そして、定番のバースディカード。
ケーキやプレゼントの絵柄に混じって紅葉のカードもあった。
(今年は、紅葉見に行けるかな・・・)
父がそう言ったのは、桜の季節が終わった頃。
そして結局、紅葉を見ることなく父が逝ったのは、夏の初めのことだった。


秋生まれの父はことのほか紅葉が好きだった。
毎年、紅葉を見にいくころは父の誕生日の近くだった。

今年はどこにしようか?TVの紅葉予想を見ながらドライブの計画を立てるのが秋の定例行事、父へのプレゼントを何にするのか考えるのも奈央にとっては定番ともいえることだった。そしてプレゼントに添えるメッセージカードを選ぶのも恒例だった。
父はメールなどの電子メッセージが嫌いだったから、奈央は必ずメッセージカードを購入して、手書きのお祝いメッセージを郵送していた、去年まで。

・・・そうか、今年はプレゼント考えなくてもいいんだ。カード買わなくてもいいんだ。
忙しい生活を送っていることと、一緒に住んでいたわけではないことで、普段は忘れている父の不在。
でも、時折こうやって事実に直面すると、やはりまだつらい。
思わず涙がこぼれそうになり、あわててその場を離れようとした時

「三上?」

聞き覚えのある声がした。

「谷本くん?久しぶりだね」

高校の同級生の谷本駿也だった。
同じ高校から同じ大学に進学したけれど、学部が違うからあまり会わない。
父が亡くなったとき直接連絡はしなかったけど、同級生のネットワークで知ったのか葬儀には来てくれた。
でも、葬儀の最中は慌しくてほとんど話ができなかった。高校のとき、一度だけ同じクラスになったけど、もともとさほど親しい関係というわけでもないし。

「うん、俺、三上の連絡先知らないし・・・」
「え?そうだっけ?」

そう答えると谷本駿也はなんだか情けなさそうな顔をした。
数少ない同窓生なのに悪いことしたかな。そう思った奈央は携帯を出した。

「今、聞いていい?」
「あ、うん。もちろん」

駿也もポケットから携帯を取り出した。
赤外線通信で連絡先を交換する。

「よし、OK。これでいつでも連絡できるな」
「そうだね、同窓会、とまではいかなくてもみんなで集まって飲みに行くとかしたいね、今度」
「それもいいな。それでさ、三上」
「なに?」
「その、大丈夫か?」
「大丈夫って、あ、見てた?」

駿也は頷いた。



秋企画もいよいよファイナルになりましたね。
素敵企画のおかげで楽しい秋でした。
今回は紅葉編、桜(DISTANCE)銀杏(コーヒー・マグ)ときて、紅葉でラストとなります。
だんだん長くなっているのは偶然です。

新学期 秋企画

秋企画ファイナルです。
間に合いました。

けっこう長いです。

ので、小説は追記から。アメリカの新学期のお話です。よろしかったらどうぞ。

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