絵師ふたり 喜多川歌麿と葛飾北斎 (捧げもの小説 素敵いただきものつき)

私はかねてより、ブロともの びたみんさん の大ファンなのです。
特にシリーズで描かれている「蔦屋一家」が好きすぎて、つい、「あの、蔦屋一家を主人公に小説書いてもいいですか」と、あつかましいお願いをしてみたのですが。
とっても優しいびたみんさんは「いいですよ!」と快諾してくださいました。
やったー!!(^o^)/

ちなみに「蔦屋一家」とは。
版元「蔦屋」に出入りする才能あふれる粋な男たちによる絢爛たる江戸絵巻です。
もうねえ、キャラクターがみんなすごくかっこよくて魅力的なのですよ、ぜひ、びたみんさんのブログで江戸のロマンに浸ってください。
他のイラストもすばらしいですよ。

書きあがった時点で、ご本人さまに(あつかましくも)差し上げてきたのですが・・・。
そうしたらなんと、すばらしいイラストを描いてくださいました。
こちら↓かっこよくてかわいい二人にドキドキです!

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小説書かせていただいただけで満足しておりましたのに。
本当に幸せすぎてうろたえてしまいます。
びたみんさん、ありがとうございます、愛してます(こら!)



追記から小説です。



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百色・さらさ

コラボ雑貨展がとてもすてきだったので、思わず書いてしまいました。
びたみんさんに捧げます。よろしかったらもらってやってください。
蔦屋一家のツンデレwいっくんが主役です。




ある日の昼下がり。
いつものように蔦屋に来ていた十返舎一九は、いきなり背中に衝撃を感じた。
どうやら誰かがぶつかってきたらしい。

「いたた・・・」

背後から聞こえる声。よく知っている声だが、たとえ声を出さなくてもこういうことになる人物は一人しか思いつかない。

「ちゃんと前見て歩いてください、歌さん」

一九は振り向きもせずに言い放った。
そう、一九にぶつかってきたのは、当代一の人気浮世絵師、喜多川歌麿であった。

「ごめん、いっくん。ぼんやりしていて」
「それはいつものことですから驚きもしませんが、前も見ずに何を考えていたんですか」

一回りも年下の一九にいいようにあしらわれている歌麿であるが、実際内面は一九のほうがずっと大人なので反論もできない。

「うん、新作がなかなかできなくて」
「あなたもですか」

一九は驚いたように目を見開いた。

「わたしもって?」
「さっきここで鉄蔵さんに会ったんですが、あなたと同じことを言ってましたよ」
「鉄ちゃんも?やはり絵師同士だからかな」
「あなたと一緒にされては鉄蔵さんが心外でしょうが、しかし、困りましたね」

一九は腕組みをして考えこんでしまった。

「何が困るの?」
「なんといってもあなたは蔦屋の看板絵師ですからね、それに鉄蔵さんもこれから蔦屋の屋台骨を背負うことになる絵師です、その二人がそろって新作を描けないとなれば、大打撃です」
「そうか、そうだね。わかった、がんばってみるよ」

歌麿はそう答えると笑って去っていったが、一九にはどうにも無理をしているように感じられた。

「さてどうしたものか」


数日後、ふたたび歌麿が蔦屋の前を通りかかると、人だかりができていた。

何事かと覗き込むと、その中心にいたのは一九だった。隣りには滝沢馬琴の姿もある。

「ああ、歌さん、いいところへ」

目が合い、一九が片手を上げた。いつになく上機嫌だ。

「なに、この人だかりは」

一九はニヤリとした。

「昨日、長崎から珍しいものが届いたので、ぜひ歌さんに見せて自慢したいとおもってるんですよ」

手招きされ、歌麿が一九のもとへ行くと、なにやら筒のようなものを渡された。

「これは?」
「説明はあとで、まずはそちらの小さな穴から中を覗いてみてください」

言われるままに、筒の中を覗いた歌麿は息を呑んだ。
なんだろう、これは、この美しさは。
小さな筒の中は光を浴びた美しい色の洪水だった。

「ゆっくり、筒を回してみてください」

筒をそっと回転させてみると、カサッとわずかな音がして、景色が一変した。

「どうです」
「すごい、これはなに?」
「百色眼鏡、あるいは更紗眼鏡と呼ばれているものです。ギヤマンのかけらを合わせ鏡で反射させて反対側から覗くというもので、原理は単純ですが、発想の妙ですね」

だが、一九の説明も歌麿の耳には入らないようで、筒の中の世界に夢中になっている。

ただのギヤマンのかけら、それが、なんという美しさだろう。
ああ、この世界はなんと美しさに溢れていることだろう、そのことに私は気づいていなかった。
この世にあるあまたの美しいもの、それを、描きたい。
歌麿の胸に熱い思いがこみ上げてきた。

「ありがと、いっくん!」

歌麿は筒を一九に返すと、一目散に走りだした。
描きたい、描きたい、はやく。
その衝動に突き動かされるように。


「ねえ、いっくん」

一九に馬琴が話しかける。

「なんでしょう」
「さっき鉄ちゃんも歌さんと全く同じことやったよね」
「そうですね、やはりどこか似てるんでしょう。二人とも何か思いついたようですし」
「これで蔦屋も安泰ってこと?」

馬琴はにっこり笑って一九を見上げた。

「いっくん、ふたりのためだよね、この眼鏡持ってきたの」
「なんのことでしょう、わたしはただ、珍しいものを手に入れたから自慢したかっただけですが」

あくまで冷静を装う一九に「素直じゃないな」と馬琴はひそかに思ったが、それもまた一九らしいことであった。



それから程なくして
蔦屋にふたりの新作が並び、それを求める人で蔦屋に長い列ができたのは言うまでもない。



歌さんが覗いた筒は今でいう「万華鏡」です。江戸時代にはすでに日本に入ってきていたそうですよ。
びたみんさん、もし失礼がありましたらお許しください。
そして鉄ちゃん、名前しかだせなくてすみませんです